『子宮頸がんとは?』

子宮がんには、子宮の入り口にできる『子宮頸がん』と、子宮の奥の方にできる『子宮体がん』があります。子宮頸がんは、生命の危険はもちろんのこと、若い女性の出産の可能性を奪う可能性がある病気です。20~30代の女性が発症するがんの中で、近年、若い年齢でかかる人が増えています。国立がんセンターのグラフを示しますが、1985年では(赤いグラフ)年齢を重ねるごとに子宮頸がんにかかる人数が増加しています。一方、2008年には(青いグラフ)20から49歳までの人数が増加しており、特に30~34歳にピークがあります。このように若い年齢の子宮頸がんが増加しているのです。

子宮頸がんイメージ
子宮頸がん発症人数

『子宮頸がんの原因』

子宮頸がんのほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因であることが明らかになってきています。ヒトパピローマウイルスは性的接触により子宮の入り口である子宮頸部に感染します。(性的接触以外でも感染することはあります。)HPVは男性にも女性にも感染する可能性のあるありふれたウイルスであり、性交経験のある女性の過半数は、一生に一度は感染機会があると考えられています。しかしHPVに感染しても、90%の人においては免疫の力でウイルスが自然に排除されますが、10%の人ではHPV感染が長期間持続します。このうち自然治癒しない一部の人は異形成とよばれる前がん病変を経て、数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。

『HPVワクチンとは?』

 HPVワクチンには2価と4価の2種類があります。現在100種類以上のHPVの型がありますが、特にHPVの16型と18型が子宮頸がんの発生に関わると考えられています。2価ワクチンは子宮頸がんの主要な原因となる“HPV16型および18型”に対するワクチンであり、一方、4価ワクチンは16型・18型および尖形コンジローマの原因となる6型・11型の4つの型に対するワクチンです。ワクチンはすでにHPVに感染している細胞からHPVを排除する効果は認められません。したがって、初めての性交渉を経験する前に接種することが非常に重要です。子宮頸がんの予防にはワクチンのみならず、その後のがん検診を受けることが重要になります。HPVと関連性が強くない腺癌というタイプのがんもあり、HPVワクチンのみでは完全に子宮頸癌がんを予防することはできません。早期発見ができれば、子宮を全部取らずに治療することもできますので、ワクチン接種後もしっかりと子宮頸がん検診を受けていただくことが重要になります。

子宮頸がん予防

『ワクチン接種後の副反応について』

どんな薬や注射でも副反応が起こることはあります。痛み止めや胃薬などでも大変な副作用が起こることがあります。HPVワクチン注射による痛みや痛みによる失神などが報告されています。注射の痛み、恐怖、興奮などによる様々な刺激が、失神を起こすと考えられています。思春期の女性に多いと考えられており、特に公費負担がされている年齢の方々は注意が必要です。注射への恐怖心が強い人は事前に医師や看護師、スタッフにお伝えください。通常は、横になって安静にするだけですぐ回復します。当院で注射をされる場合には、施行後30分間は院内で安静にしていただければ幸いです。

終わりに

子宮頸がんは若年層に増加している悪性腫瘍であり、特に結婚や妊娠、出産を考えたい年齢の女性の生活を一気に変えてしまうがんです。筆者もAMED研究という厚労科研の研究班で活動しており、若い方のがんの研究をしてきました。たくさんの若い女性ががんにより命をなくしたり、妊娠、出産ができなくなることにより悲しい思いをするところをみてきました。先進国では日本のみがこのワクチンを打つことを積極的には推奨していないため、今後子宮頸がんはさらに増えていき、若い女性の幸せな生活を脅かす可能性があります。一方で、HPVワクチンの痛みにより副反応が出ている方がいることも忘れてはなりません。家族で十分に話合い、納得したうえでHPVワクチンを受けていただきたいと考えます。

なお、副反応が起きた場合にご相談ができる窓口を下記にお示ししますのでご参照ください。

厚生労働省
HPVワクチン相談窓口:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/

協力医療機関及び専門医療機関一覧:
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/medical_institution/index.html