低用量ピルと乳がんの関係性と発症リスク

 つづきレディスクリニックの院長の吉岡です。当院では月経痛(生理痛)、過多月経(生理量の増加)、月経前緊張症などに対して積極的にLEP製剤(一般的にいうピル)を処方させていただいております。たくさんの患者さんからLEP製剤のおかげで“生理痛が無くなりました。” 量が減ったので楽です。というご意見をいただいております。 1年に一度の乳がん検診をお勧めしていますが、乳腺外科の専門の先生からは“ピルは乳がんに対して悪”というイメージが強いようです。
ではどのくらい乳がんに対してリスクがあるのかまとめてみましたのでご参照ください。

ピルに関する詳細は下記を御覧ください。

ピル(副作用・飲み方・処方・避妊率)

(分析は2015年度版日本産科婦人科学会 OC・LEPガイドラインを参考にして書かせていただきました。)

ピル(LEP製剤)による乳がんの発症率は?

今までに乳がんとLEP製剤に関わるたくさんの研究があるようですが、様々な意見があるようです。1996年に発表された54例の研究では乳がんの発症率は1.24倍に増加し、使用中止後10年間ではリスク増加はなかったそうです。
その後も何件かの乳がん発症増加の報告が続きます(2002年、2004年、2006年の報告より)。
一方何件かの報告では乳がん発症のリスク増加がなかったとされている報告もあります(2002年、2003年、2007年、2010年などの報告より)。最近の36年のフォローアップ研究では乳がんの発症率は1.08倍と増加していませんでした。このガイドラインでは最終的にLEP製剤の内服はわずかに乳がんの発症リスクが増加させる可能性があるとしています。
当院では1年に一回の乳腺の検診をお勧めしていますが、そのような理由があるのです。乳がんの発症率はわずかながら増加ではありますが、皆様の健康を守るために検診を推奨しています。

また、LEP製剤の中にはエストロゲンとプロゲステロンというホルモンが含まれていますが、この含有量にもよるようです。エストロゲンの量が多い場合には乳がんの発症リスクが高いとされています。 なるべく当院ではエストロゲンの含有の低いもので調整したいと考えています。

ピル(LEP製剤)はどのような時に使えないですか?

重要なことは乳がんの患者さんには禁忌(処方してはいけない)と記載されています。
ですから、必ず既往歴のある方は初診時に記載いただければ幸いです。
乳がんの既往があり、最近5年間に再発所見のない女性に対しては他に適切な方法がない場合以外には通常勧められないとも書かれています。
最終的にガイドラインとしては発症後5年以上の再発のない乳がんは慎重投与とするとなっています。

乳がんの家族歴のある方はない方に比べて乳がんの発症率が高いとされています。しかし、LEP製剤の内服でそのリスクが増加することはないようです。}をですので、乳がんの家族歴のある方のLEP製剤の投与制限はなく、慎重に投与することが重要になります。

ピルと乳がんの発症リスク まとめ

 これらのデータを受けて、当院では今後も積極的にLEP製剤の処方を行っていきたいと考えています。
一方で乳がんの発症リスクはわずかながらではありますが上昇するため、1年に1回の検診はお勧めしていきたいと考えます。
たくさんの患者さんから生理痛が治り良くなりました。量が減ったので気にしなくて大丈夫になりましたという意見をいただきます。
今後もより良い女性のライフサイクルを支えながら、その他のリスクに対しても安全に対応していきたいと考えています。

                 つづきレディスクリニック院長

                               吉岡 範人